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リハビリテーション総合施設見学レポート | 株式会社ゆうせん堂

ナイトセミナー

リハビリテーション総合施設見学レポート

はじめに

平成17年9月13日、午前8時~午後5時30分まで知人の紹介でリハビリテーション総合施設を見学する機会を得たのでその概要を報告する。
本施設は老人保健施設、認知症グループホーム、居宅介護支援事業所、ホームヘルプサービスなどを運営する総合的な医療・介護法人である。今回見学をしたリハビリテーション科は整形外科疾患や中枢系疾患のほか、スポーツ障害にも力を入れている施設で、理学療法士17名、作業療法士11名、言語療法士3名という人員構成である。

目的と概要

今回は「施設内リハビリテーションの流れや治療内容を見学すること」「回復期リハビリテーションにおける考え方や方向性を知ること」を目的として上げ見学に臨んだ。当日は、理学療法技師長の先生の元、(1)一般病棟、(2)回復期病棟、(3)療養型病床群、(4)老人保健施設内のディサービスの部署を見学することができた。

見学内容

① 一般病棟

一般病棟は整形外科手術後や生活習慣病などで、一時的に入院が必要となった患者を担当する。患者は理学療法室を訪れ、スタッフの治療・指導のもとアクティブにプログラムを消化していく。印象的であったのは人工関節置換術後、翌日には立位負荷を開始し、1週間以内で平行棒内での歩行を実施している点である。教科書的には理解していたが、実際に数日前にopeをした患者が平行棒内で歩行する姿は意外に安定感があり、苦痛も少ないようだった。また、自主トレーニングの割合が非常に多く、セラピストはそれをチェックするという光景も目立っていた。

② 回復期病棟

 周知の通り回復期とは生命や疾患の予後に関わる急性期の医学的アプローチの終了した患者に対して、家庭復帰と日常生活の自立に向けたリハビリテーションプログラムを行なう病棟である。いわば、私たちが在宅で接する直前の患者が対象であり大いに感心があった。実際の見学内容はベッドサイドでのROM訓練や基本動作訓練、歩行訓練など特筆する内容ではなかった。しかし、注目したのは歩行訓練である。病棟内を歩行する中で歩行器、ウォーカーケイン、4点杖と患者の状態を考慮しながら装具の調整をしている点である。ここでいう調整とはいわゆる「使い易い」ではない。障害の特徴や実際の住環境を評価した上での「判断」である。逆にいうと我々が目にする「病院では歩けた」などの家庭復帰後の問題にはこの「判断」が重要な意味をもってくるのであろう。

③ ディサービス

 午後に入り、病院に併設されている老人保健施設内のディサービスを見学した。先ほどの回復期が「在宅の直前」であるのに対してこちらはまさに、在宅で生活をしている患者(利用者)である。機能訓練室内は3台のプラットホームと平行棒、プーリー、ホットパック、作業療法を行うなうペ-スなどがあり、時間ごとに10人ほどの利用者が訪れていた。この施設の大きな特徴は、それぞれに高い専門性のある理学療法士(2名)と作業療法士(1名)が同一の業務を行っている点である。ここでの訓練は利用者個々のゴール設定や愁訴の軽減よりも「いかにすべての利用者に多く体を動かす機会を作るか」ということに主眼がおかれている印象であった。つまり当院患者に限らず、「ディサービスにリハビリに行く」と考えサービスを利用すると「リハビリはあまりやらなかった」という誤解はこのために生じてくるのであろう。しかし、活動性の低下が多くみられる高齢者にとっては、結果的に利益となっているはずである。

④ 療養型病床群

 最後に療養型病床群である。この施設は長期にわたり入院・療養が必要な患者に対して、構成施設や人員を含め、より介護的なスタンスの施設である。ここでのリハビリテーションは症状が固定的な患者が多いせいか現状を維持することに主眼が置かれ機能の向上よりも患者の愁訴改善を優先している印象を受けた。

考察

この見学を通して、強く感じたことが3つある。一つは評価の必要性、2つ目は訓練の質と量の考え方、そして最後が手技療法の重要性である。どの施設でも共通であるが、ニーズを含めた現在の患者の状態を正確に把握しない限り、有意義なプログラムは見いだせないのである。しかし、それは固定的なものではなく、常に変化をもったものでなければならない。このことが予後や満足度を大きく左右すると考えた。

次に訓練の質と量についてである。評価に基づいて訓練を処方するのであるが、ここでは重要なのは、その質と量である。評価の話と重複する部分もあるが、運動療法に限らず、質的に難易度の高い訓練は量を行うことは難しい。老健施設が良い例だと思うが、高齢者ではこの傾向は顕著である。訓練の質(難易度)を下げることで、結果的に量を確保し目的を達成していくのである。もちろんその逆も存在する。それぞれエビデンスに基づいたものであろうが、その考え方が日常臨床においても大いに参考となった。

3つ目の手技療法については、すべての場面で登場する機会が多いのである。ここで手技療法という表現を行っているのは、それが「マッサージ」に限ったものでなくストレッチやモビリゼーションなど多岐にわたるからである。そこでは私が考えていた以上に繊細な仕事が行われていた。単にストレッチといってもそこには筋・骨・靱帯・関節包など様々な構成要素がある。どこをどう伸ばすのか、結果どのような変化が生じたのかなど、的確に観察していく。これは手技療法のライセンスを持つプロとして学ばなくてはならない部分である。そして、これらのことが施設全体に共通して感じられたのは、一部のスタッフだけでなく全員が担当している患者に対して責任をもち、主体的に業務にあたっていたためであろう。このことが施設としての信頼を維持し、業務の質を向上していく上で大切なのだと思う。

まとめ

私がこの見学で得た結論は、「施設でしかできないことは多いが、セラピストの技量次第でできることも非常に多い」ということである。私たちの臨床現場は家庭であり、そこには多くの情報がある。これらをいかに拾い集め、意味のある施術にしていくかはセラピストにかかっていると強く感じた。この見学が日々の業務に少しでも生かせるよう努力して行きたいと考えている。

最後にこの企画を快く了承して頂き、始業時間中にもかかわらず多くご説明をくださった理学療法技師長をはじめスタッフの皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。